訪問看護ステーション開設の要件を徹底解説|人員・設備・運営の基準と費用

- 訪問看護ステーションの開設には、人員・設備・運営の3つの指定基準を満たす必要がある。
- 人員基準は、常勤換算で看護職員2.5人以上と管理者1名が必須。
- 法人格がなければ指定申請はできず、最初に法人設立が必要。
- 指定申請から開業までは、事前協議を含めおおむね2〜3か月かかる。
- 自治体ごとに必要書類や事前協議のルールが異なるため、必ず管轄窓口に確認する。
訪問看護ステーション開設の要件とは?まず押さえる全体像

訪問看護ステーション開設の要件とは、人員・設備・運営の3つの指定基準を満たし、法人として都道府県知事の指定を受けることです。
私が開設したときに最初につまずいたのが、ここでした。資格や熱意があっても、個人ではステーションを開けません。法人と基準が大前提です。
そもそも訪問看護ステーションとは
訪問看護ステーションとは、看護師などが利用者の自宅へ訪問し、療養上の世話や診療の補助を行う事業所のことです。
主治医の指示書にもとづいて看護を提供します。介護保険と医療保険のどちらでも利用され、ここが請求の入り口になります。
病院と違い、生活の場に入っていく仕事です。私は最初、その距離感の近さに戸惑いました。
開設に必要な「指定基準」の考え方
指定基準とは、事業者が指定を受けるために満たすべき最低限のルールで、人員・設備・運営の3つに分かれます。
厚生労働省令の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」が土台です。難しい名前ですが、要は「人」「場所と物」「運営のやり方」の3点だと考えてください。
指定基準を満たすことが開設の前提
3つの基準のうち1つでも欠けると、指定は下りません。
逆に言えば、ここを設計の最初に固めておけば、後の手続きはぐっと進めやすくなります。私は人員確保を甘く見て、申請直前に慌てました。
開設に必須の3つの指定基準(人員・設備・運営)を徹底解説
3つの指定基準とは、看護職員2.5人以上を求める人員基準、事務室や備品をそろえる設備基準、運営規程や記録を整える運営基準のことです。

| 基準 | 主な内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 人員基準 | 看護職員を常勤換算2.5人以上、管理者1名 | 常勤1名+他職員の合計で2.5人を満たせばよい |
| 設備基準 | 事業の運営に必要な広さの専用区画、必要な備品 | 事務室や手洗い設備など |
| 運営基準 | 運営規程、サービス提供記録、秘密保持など | 運営規程の作成は申請書類に直結する |
人員基準(管理者・看護師の配置)
人員基準の核心は、保健師・看護師・准看護師を常勤換算で2.5人以上配置することです。
常勤換算とは、職員の勤務時間を常勤1人分に置き換えて数える方法です。たとえば常勤1人と、半分だけ働く人3人なら、1+1.5で2.5人になります。
管理者は原則として常勤の保健師か看護師で、管理業務に支障がなければ看護業務との兼務もできます。理学療法士などのリハ職を置く場合は、実情に応じた適当数とされています。
正直、ここが一番のハードルです。2.5人を「紙の上」だけでなく実際に確保するのが、開設者の最初の山場でした。
設備基準(事務所・必要な備品)
設備基準とは、事業を運営するために必要な広さの専用区画と、業務に必要な備品をそろえることです。
事務室、相談スペース、感染予防のための手洗い設備などが求められます。広さの数値は法令で一律に決まっていないため、管轄自治体の運用に合わせます。
私の地域では、利用者の個人情報を守れる区画かどうかを細かく見られました。図面を持って事前相談に行くのが確実です。
運営基準(運営規程・記録など)
運営基準とは、運営規程の作成、サービス提供記録の整備、秘密保持や苦情対応の体制づくりなどを指します。
運営規程には事業の目的、職員の職種と員数、営業日と営業時間、サービス内容と利用料などを定めます。これは申請書類そのものになるので、早めに作るほど後が楽です。
指定基準を満たすときの留意点
基準は全国共通の部分と、自治体ごとに運用が異なる部分があります。
特に設備の広さや必要書類の様式は、管轄によって細かく違います。「隣の市で通った書式が、こちらでは差し戻された」という話は珍しくありません。最初に管轄窓口へ確認するのが遠回りに見えて一番早いです。
開設までの流れと申請スケジュールの目安
開設は、法人設立→事務所契約と人材採用→事前協議と指定申請→指定を受けて開業、という流れで進み、申請から開業までおおむね2〜3か月が目安です。

私の実感では、人を集める期間が読めず、ここで予定が伸びがちでした。逆算してスケジュールを引くのがコツです。
| ステップ | 主な内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 法人設立 | 定款作成・登記 | 2週間〜1か月 |
| 事務所・採用準備 | 物件契約、設備、職員採用 | 1〜2か月 |
| 事前協議 | 管轄窓口と図面・書類の確認 | 随時 |
| 指定申請 | 必要書類を提出 | 申請月の指定締切まで |
| 指定・開業 | 指定日(多くは申請翌月1日) | 申請から約1〜2か月後 |
法人を設立する(事業目的の記載例)
個人では指定を受けられないため、株式会社・合同会社・NPO法人などの法人を設立します。
定款の「事業目的」に訪問看護に関する記載がないと、後で指定が受けられません。たとえば『訪問看護ステーションの運営』『介護保険法に基づく居宅サービス事業』のように明記します。
私は合同会社で始めました。設立費用を抑えられたのが理由です。法人形態は、出資者の数や将来の規模で選べばよいと思います。
事務所の契約・設備準備・人材採用
法人ができたら、設備基準を満たす事務所を契約し、備品をそろえ、看護職員を採用します。
ここで気をつけたいのが順番です。物件は指定申請に図面が必要なので早めに、採用は時間がかかるのでさらに早めに動きます。
指定申請と事前協議・必要書類
多くの自治体では、正式な申請の前に「事前協議」が必要で、ここで書類と要件を確認します。
申請には、申請書、定款、登記事項証明書、平面図、運営規程、職員の資格証や勤務体制一覧などをそろえます。様式は管轄ごとに異なるため、必ず窓口で最新版を入手してください。
申請から開業までの所要期間とオンライン申請
指定には申請の締切日があり、多くの自治体では「前月の指定日までに受理されれば翌月1日指定」という運用です。
近年は介護分野で電子申請の仕組みが広がっています。対応状況は自治体や事業種別で差があるため、紙か電子かは事前協議の際に確認するのが確実です。
開設にかかる費用の総額と資金調達の方法

開設費用は、物件・人件費・備品・運転資金を含め、数百万円規模を見込むのが現実的で、自己資金に日本政策金融公庫などの融資を組み合わせる方法が一般的です。
金額は地域や規模で大きく動くため、ここでは私が実際に分けた費目で考え方を示します。具体額は自分の条件で必ず試算してください。
開設にかかる費用の内訳
| 費目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 法人設立費用 | 登記費用、定款認証など | 合同会社は株式会社より安い |
| 物件費用 | 敷金・礼金・前家賃 | 設備基準を満たす広さが必要 |
| 設備・備品 | 事務机、PC、医療材料など | 電子カルテ導入費も含む |
| 人件費 | 看護職員の給与 | 売上が立つ前の数か月分が重い |
| 運転資金 | 開業から入金までのつなぎ資金 | 介護報酬の入金は約2か月後 |
自己資金・融資・補助金の組み合わせ方
資金は、自己資金をベースに、日本政策金融公庫の創業融資などで不足分を補うのが基本です。
融資審査では事業計画書が重視されます。私は利用者数の見込みと収支計画を作り込んで臨みました。補助金は時期で内容が変わるため、申請時点の最新情報を公的窓口で確認してください。
電子カルテ・レセプトソフトの選び方と導入コスト
電子カルテとレセプトソフトは、訪問看護に対応し、介護・医療の両方の請求ができるかを基準に選びます。
見るべきは、月額費用、サポート体制、スマホ入力への対応、そして請求エラーの起きにくさです。私は記録と請求が連動するかどうかを最重視しました。事務作業の負担が段違いだからです。
開業前に必要な届出・許認可チェックリスト
開業前には、指定申請に加えて、保険請求のための届出や賠償責任保険への加入を済ませておく必要があります。

指定が下りても、請求の届出を忘れると報酬が受け取れません。ここは抜けると致命的です。
保険請求に関する届出
医療保険の訪問看護療養費を請求するには、地方厚生局への届出が必要です。
介護保険分は指定とあわせて、医療保険分は別途の届出が必要になることが多いです。加算を取る場合は、その加算ごとの体制届も忘れずに提出します。
賠償責任保険への加入
利用者の自宅でケアを行う以上、賠償責任保険への加入は実質的に必須です。
物損や事故、看護に伴うトラブルに備えます。私は開業前に必ず加入を済ませました。安心して訪問に出るための土台です。
開業前にそろえる届出一覧
- 法人の登記事項証明書をそろえる。
- 訪問看護ステーションの指定申請書類を提出する。
- 医療保険請求のための地方厚生局への届出を行う。
- 取得する加算ごとの体制届を提出する。
- 賠償責任保険に加入する。
開設後に失敗しないための運営と収益のポイント
開業後の成否は、利用者を安定して獲得できるか、看護師を確保し続けられるか、加算を適切に取り、法令を守れるかで決まります。

開設はゴールではなくスタートです。私が一番苦労したのは、開けてからの集客と人の維持でした。
利用者を獲得する集客・営業の具体策
利用者獲得のカギは、ケアマネジャーと地域の医療機関との関係づくりです。
訪問看護の依頼は、居宅介護支援事業所のケアマネや病院の退院支援担当から来ます。私は開業直後、近隣の事業所に挨拶回りをして、対応できる疾患や時間帯を具体的に伝えました。
営業で効くのは、立派なパンフより「この人なら任せられる」という安心感です。第一印象と、依頼への返事の速さがすべてだと感じています。
看護師・管理者を確保する現実的な対策
人材確保は、求人媒体だけに頼らず、知人の紹介や潜在看護師の掘り起こしを併用するのが現実的です。
訪問看護は経験者が少なく、採用は本当に難しい。私は未経験者を採用し、同行訪問で育てる前提に切り替えました。短時間勤務を認めて常勤換算で2.5人を満たす設計も有効です。
面接ではミスマッチを防ぐため、訪問の働き方や移動の大変さを正直に伝えました。入ってから「思っていたのと違う」が一番こたえます。
機能強化型などの加算で収益を伸ばす
収益を伸ばす王道は、機能強化型訪問看護ステーションなどの加算要件を満たすことです。
機能強化型は、看護職員の人数や24時間対応、ターミナルケアの実績などの要件を満たすと、より高い報酬区分になります。ただしハードルは高く、開業直後にすぐ届くものではありません。
私の考えでは、まずは基本のケアと24時間対応の体制を固め、実績を積んでから段階的に加算を狙うのが現実的です。
指定取り消しを防ぐ法令遵守とリスク管理
指定取り消しを防ぐには、人員基準の常時維持と、記録・請求の正確さを徹底することです。
よくある失敗が、職員の退職で2.5人を割ったまま運営を続けてしまうケースです。これは基準違反になります。記録の不備や不正請求は、最悪、指定取り消しに直結します。
よくある質問(FAQ)

開設の要件・費用・最初の一歩について、私が実際によく聞かれる質問にまとめて答えます。
よくある質問
開設は手続きの量に圧倒されがちですが、やることは一つずつ片づければ必ず前に進みます。最初の一歩は、管轄窓口への電話一本でいい。私もそこから始めました。
