訪問看護の利用の流れと申請方法を7ステップで解説|費用も紹介

私は訪問看護ステーションの管理者として、開設から日々の利用相談まで10年関わってきました。この記事では、相談先の決め方から指示書の依頼、契約までを7ステップで具体的に並べます。
この記事を読めば、申請に必要な書類、開始までにかかる日数、介護保険と医療保険それぞれの自己負担の考え方まで、迷わず申し込みに進める段取りが手元にそろいます。所要時間はおおむね「相談から数日〜数週間」、難易度はそこまで高くありません。最初の電話さえかければ、あとは専門職が一緒に進めてくれます。
訪問看護とは?利用できる人と対象条件

まず押さえてほしいのは、訪問看護は原則として「主治医の指示」に基づいて利用する制度だという点です。医療保険でも介護保険でも、ステーションは主治医の「訪問看護指示書」がなければサービスを提供できません。
対象となる年齢・疾患・要介護認定の有無
訪問看護に「この病気でないと使えない」という単純な線引きはありません。赤ちゃんから高齢者まで、主治医が「自宅で看護が必要」と判断すれば対象になります。
分かれ目は年齢と保険区分です。65歳以上で要介護・要支援の認定を受けている方は、原則として介護保険が優先されます。介護保険を使うには、市区町村での要介護認定が前提になります。
一方、認定がない方、40歳未満の方、特定の疾患で医療管理が中心の方などは医療保険での利用になります。精神科訪問看護も基本は主治医の指示書が必要で、申込み・面談を経て開始します。
介護保険と医療保険のどちらが使えるか
ここでつまずく方が一番多いです。正直、最初は自分で判断しなくて大丈夫。主治医やケアマネジャーが区分を整理してくれます。
ざっくりした考え方を表にしました。あくまで原則で、疾患や状態によって例外があります。
| 区分 | 主な対象 | 入口となる手続き |
|---|---|---|
| 介護保険 | 65歳以上で要介護・要支援の認定がある方など | 市区町村で要介護認定を申請→ケアプラン作成 |
| 医療保険 | 認定がない方、40歳未満、特定の疾患で医療管理が中心の方など | 主治医に相談→指示書 |
| 精神科訪問看護 | 精神疾患で主治医が必要と認めた方 | 主治医の指示書→ステーションへ申込み・面談 |
覚えておくと楽なのは「介護保険が使える人は介護保険が優先される」というルールです。両方を自由に選べるわけではありません。
訪問看護で受けられるサービス内容の一覧
「看護師に何をしてもらえるの?」という質問もよく受けます。日常の健康チェックから医療処置、療養生活の支援まで幅広いです。
| 分類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 健康状態の観察 | 血圧・体温・脈拍の確認、病状や生活状況の把握 |
| 医療処置 | 点滴・注射、カテーテル管理、床ずれの処置など |
| 療養上の世話 | 清拭・入浴介助、排泄ケア、服薬管理 |
| 医療機器の管理 | 在宅酸素、人工呼吸器、インスリン療法の支援など |
| 家族支援・相談 | 介護方法の指導、療養に関する相談、看取りの支援 |
どこまで頼めるかは指示書の内容と契約で決まります。「これはお願いできる?」と思ったら、契約前の面談で遠慮なく聞いてください。
利用開始までの流れと申請方法を7ステップで解説
ここが本題です。医療保険での利用は「本人・家族が主治医に依頼」→「医師が必要と認める」→「ステーションが指示書に基づき訪問」という流れが基本です。介護保険の場合は、その前に要介護認定とケアプラン作成が入ります。

全体を7ステップに分けます。1ステップ=1動作で進めれば、つまずきません。
ステップ1:相談先を決める(誰に相談すればよいか)
最初の一歩は「誰に相談するか」です。状況によって相談先が変わります。
| あなたの状況 | まず相談する相手 |
|---|---|
| 入院中で退院後に利用したい | 病院の地域連携室・退院支援看護師・医療ソーシャルワーカー |
| 在宅で要介護認定がある | 担当のケアマネジャー |
| 在宅で認定がない・通院中 | 主治医(かかりつけ医) |
| どこに聞けばいいか分からない | 地域包括支援センター、または近くの訪問看護ステーション |
ここまでで「最初に電話する相手の名前」が決まっていれば正解です。迷ったら地域包括支援センターでOK。ここはどんな相談でも入口になります。
ステップ2:主治医に訪問看護指示書を依頼する
訪問看護は指示書がスタート地点です。主治医に「自宅で訪問看護を受けたい」と伝え、指示書を書いてもらいます。
うまくいかないときは——外来の限られた診察時間で言い出せないことがあります。そんなときは、利用したいステーションを先に決めておくと、ステーション側から主治医へ指示書を依頼してくれます。患者さんが一人で抱え込まなくて大丈夫です。
ここまでできていれば、主治医が指示書を発行する準備に入ります。
ステップ3:訪問看護ステーションを選んで申し込む
並行してステーションを選びます。介護保険利用ならケアマネジャー、退院時なら連携室が候補を紹介してくれます。
申し込みは電話一本でかまいません。「いつから」「どんな状態で」「どのくらいの頻度で」を伝えると話が早いです。選び方のポイントは後半で詳しく書きます。
ここまでで、訪問してくれるステーションが1つに決まっていれば次へ進めます。
ステップ4:説明・同意・契約と初回訪問
サービス開始前に、ステーションとの契約・面談が必要です。サービス内容、訪問の頻度、契約条件、料金を確認してから契約します。
契約が済むと、初回訪問で看護師が状態を確認し、訪問看護計画を立てます。残りの3ステップ(情報収集→計画→実施)は、契約後にステーション側が主導で進めてくれる部分です。あなたがやることは、ここまでの4つでほぼ完了します。
この手順どおりに進めれば、「相談先を決め、指示書を依頼し、ステーションと契約して訪問看護を開始する」までたどり着けます。
利用開始までにかかる日数と事前に準備すべきもの
「いつから来てもらえるの?」は一番リアルな疑問です。正直に言うと、ケースによって幅があります。

相談から利用開始までの期間の目安
医療保険での利用は比較的早く、指示書が出てステーションと契約できれば、数日で初回訪問に入れることもあります。
時間がかかるのは介護保険のケースです。要介護認定の申請から認定結果が出るまでに、自治体の審査で時間がかかる場合があります。認定を待たずに暫定ケアプランで先に始める方法もあるので、急ぐなら相談時に「すぐ始めたい」と伝えてください。
申請に必要な書類・持ち物チェックリスト
訪問看護そのものに全国共通の一律の申請書式はありません。利用区分によって必要なものが変わります。手元にそろえておくとスムーズなものを挙げます。
| 項目 | 用途・補足 |
|---|---|
| 健康保険証 | 保険区分・負担割合の確認に使う |
| 介護保険被保険者証 | 介護保険で利用する場合に必要 |
| 負担割合証 | 介護保険の自己負担割合の確認 |
| お薬手帳・服用中の薬 | 服薬管理・状態把握のため |
| 主治医の連絡先 | 指示書のやりとりに必要 |
| 緊急連絡先のメモ | 家族・キーパーソンの連絡先 |
本人や家族が事前にしておくとよいこと
契約前に家族で「何に困っているか」「どこまで在宅で頑張れるか」を一度話しておくと、面談がぐっと建設的になります。
私が面談で必ず聞くのは「夜間に不安なことは何か」です。ここを最初に共有しておくと、緊急時の体制をどう組むかが決めやすくなります。
訪問看護にかかる費用と自己負担額

費用は、保険区分・負担割合・訪問回数・時間で変わるため、一律ではありません。ここはぼかさず正直に書きます。今回参照できる一次資料には厚労省の最新の自己負担額表そのものが含まれていないため、具体的な金額は公式資料での確認が前提です。
介護保険を使う場合の自己負担と金額例
介護保険では、所得に応じて1〜3割が自己負担です。要介護度ごとの支給限度額の範囲内で、訪問看護の利用回数に応じて費用がかかります。
正確な単位数・金額は制度改定で変わるため、ここで断定的な金額は書きません。契約前の見積もりで、月額の自己負担をステーションに必ず出してもらってください。
医療保険を使う場合の自己負担と金額例
医療保険でも、年齢や所得に応じて1〜3割の自己負担が基本です。介護保険のような支給限度額の枠ではなく、訪問1回ごとの料金体系になります。
高額療養費制度の対象になる場合もあるので、医療費がかさみそうなら、加入している保険者にあわせて確認しておくと安心です。
訪問看護指示書の取得費用
指示書は主治医(医療機関)が発行し、その費用は医療機関側で算定されます。利用者の窓口負担は保険の負担割合に応じた額です。
金額は診療報酬で定められていますが、改定があるため、ここでは具体額を断定しません。気になる場合は発行元の医療機関に確認するのが確実です。
自費(保険外)で利用する場合
保険の枠を超えた長時間の付き添いや、保険対象外のサービスを希望する場合は、自費の訪問看護という選択肢があります。
料金はステーションごとに自由設定で、時間単価で決まるのが一般的です。保険利用と自費を組み合わせることもできるので、希望があれば面談で相談してください。
失敗しない訪問看護ステーションの選び方
管理者として正直に言うと、ステーション選びで満足度はかなり変わります。サービス開始前の面談で、内容・頻度・契約条件をしっかり確認できるかどうかが分かれ目です。

比較するときに見るべきポイント
複数のステーションを比べるなら、次の観点で並べると違いが見えます。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 対応エリア | 自宅が訪問範囲に入っているか |
| 24時間対応 | 夜間・緊急時に連絡が取れる体制か |
| 専門性 | 対象の疾患・医療処置に対応できるか |
| リハビリ職の有無 | 理学療法士等によるリハビリが必要か |
| 連携体制 | 主治医・ケアマネジャーとの連携がスムーズか |
| 費用の説明 | 月額の自己負担を事前に出してくれるか |
私のおすすめは、最初に2〜3か所へ電話して対応の感触を比べること。電話口の丁寧さは、そのままサービスの質に出ます。
24時間体制・夜間・緊急時の対応の有無
在宅療養で家族が一番不安なのは夜間です。「夜中に容体が変わったら誰に連絡するのか」をはっきりさせておきましょう。
24時間対応の届出をしているステーションなら、夜間・休日も電話相談や緊急訪問ができます。重い医療管理がある方は、ここを最優先で確認してください。私は、迷ったら24時間対応のあるステーションを選ぶことを勧めます。
ケアマネジャーや主治医との連携の進め方
介護保険での利用は、認定後にケアマネジャーが関与するのが基本です。訪問看護はケアプランに位置づけられ、主治医の指示書と連動します。
うまく回すコツは、家族が「伝書鳩」にならないこと。状態の共有はケアマネジャー・主治医・ステーションの三者で直接やりとりしてもらうよう、最初にお願いしておくと後が楽です。
退院から在宅へ移行する場合の流れと注意点
退院をきっかけに訪問看護を始めるケースは多いです。ここは段取りを間違えると、退院日に支援が間に合わない事態になります。

退院前カンファレンスでの調整
入院中なら、病院の地域連携室が中心になって退院前カンファレンスを開きます。ここで主治医・病棟看護師・ケアマネジャー・訪問看護師が顔を合わせ、退院後の医療処置やケア内容を引き継ぎます。
家族として大事なのは、このカンファレンスに同席して「家でできること・できないこと」を率直に伝えること。遠慮すると、家に帰ってから家族が抱えきれなくなります。
在宅へ切り替えるときのつまずきやすい点
現場でよく見るつまずきは、退院日が決まってから慌てて準備を始めるパターンです。指示書やベッド・物品の手配が間に合わず、初回訪問が後ろにずれます。
対策はシンプルで、退院の話が出た時点で連携室に「訪問看護を入れたい」と伝えること。早ければ早いほど、退院当日からスムーズに支援につながります。
利用開始後の変更・中止・解約の手続き

「合わなかったらどうしよう」という不安、よく分かります。結論、内容の変更も解約もできます。契約で頻度を決めているだけなので、状況に応じて見直せます。
内容を変更したいときの進め方
訪問の回数を増やしたい・減らしたい、曜日や時間を変えたいといった希望は、ステーションかケアマネジャーに伝えれば調整します。
ただし介護保険ではケアプランの変更が伴うため、回数増はケアマネジャーとの相談が必要です。状態が変わったタイミングで早めに声をかけてください。
中止・解約の手続き方法
中止・解約は、ステーションへの申し出で進みます。契約書に解約の取り決めがあるので、契約時に「やめるときどうするか」を確認しておくと安心です。
入院や施設入所、状態の改善などで一時的に止めることもできます。「もう来てもらわなくていいかも」と思っても、自己判断で連絡を絶たず、まず一本電話を。再開もスムーズにできます。
訪問看護の利用に関するよくある質問(FAQ)
よくある質問
最後に一つだけ。動き出す前から完璧に理解する必要はありません。最初の電話で「家で看護を受けたい」と伝えれば、そこから先は私たち専門職が一緒に組み立てます。今日できる一歩は、相談先を1つ決めて電話番号を控えること。それだけで前に進みます。

- 厚生労働省 訪問看護の制度説明資料
- 介護保険の要介護認定 申請先(市区町村)について
- 精神科訪問看護の利用の流れ
- 介護保険での利用の流れ(ケアプラン→指示書→契約)
- 契約・面談を経てサービス開始となる流れ
- 要介護認定の申請と認定の流れ
- 訪問看護の料金は区分・負担割合・回数で変わる(厚労省資料)
- サービス内容・頻度・契約条件を確認してから開始する
- 認定後にケアマネジャーが関与する標準的な手順
- 全国訪問看護事業協会 訪問看護の制度説明
- 介護保険での利用の流れ(さわやか)
- 要介護認定の申請先について(JOS)
- 契約・面談を経た利用開始(lovei)
- 要介護認定と利用の流れ(cares)
- サービス内容・契約条件の確認(dotline)
- 認定後のケアマネジャー関与(iroiro-nurse)
- 精神科訪問看護の利用の流れ(plume)
